「興味から選ぶ就職」は失敗する?就活のプロが語る、はたらくを楽しむ為の仕事の選び方

就活マーケットのリアルや業界の表と裏などをテーマに、全国5会場で開催された『CAMP SUMMIT 2018〜就活Kick Off〜』。今回は2月28日に開催された、東京会場の模様をお伝えします。Kick Off最終回となった本イベントでは、特別ゲストとして人材紹介会社・代表取締役の吉岡誠司さんにご登壇いただきました。就職マーケットを知り尽くした吉岡さんに、CAMPキャプテン・佐藤裕が業界のリアルやマーケットの未来などについて深堀りしました。

業界への「憧れ」の先にある、リアルな業務を意識して

佐藤裕(以下、裕):まずはご経歴も含めて、自己紹介をお願いします。

吉岡誠司さん(以下、吉岡):現在は人材紹介会社の代表として、転職支援などを行っています。それ以前にも大手人材紹介会社やコンサルティング会社などに所属しており、かれこれ17年ほど人材業界に携わっていることになります。業界の酸いも甘いも見てきているので、今日はできる限り皆さんの役に立つ情報をお話ししたいと思います。

裕:それではまず、業界選びについて伺いたいと思います。学生はよく、「人の人生に触れられる仕事」という観点から志望業界を選びがちです。分かりやすい例で言うと「人生最高の瞬間のお手伝いをしたい=ブライダル業界」「人の命にかかわりたい=製薬業界」などが挙げられますが、こうした考え方についてはどう思われますか?

吉岡:きっかけとしては、決して間違いではありませんが、それだけで飛び込んでしまうと危険ですね。イメージ先行で入社すると、働き始めてから辛い業務に耐えられなくなりますから。製薬業界であればMRと呼ばれる営業職がありますが、彼らの主な仕事は医師のもとを訪れ、医薬品の情報提供を行うことです。その中には、病院をいくつも回って医師に面会時間がもらえるよう診察室の脇で何時間も待つなど、人の命を救う実感が直接的には得られない業務もたくさんあるわけです。

裕:興味をもつ入口としてはアリですが、それがすべてではないと意識した上で業界を見ることが大事なんですね。この話に通じるところもあると思いますが、人気企業ランキングについても伺います。新卒学生と転職者ではランクインする企業が大きく異なりますが、これはなぜでしょうか?

吉岡:新卒学生の場合、当然ながら就職経験がないため、自分の知っている企業や家族が薦める企業などイメージ先行で選びがちです。一方、実際に社会に出て働いた経験のある転職者の場合は、イメージよりも自分の能力を活かせるかどうかを重視します。そのため待遇面においても、例えば転職当初は年収が下がるとしても、5年後にはリカバーできるほどのマーケットバリューが見込めるなら、転職を勧めるケースもたくさんあります。

AI化が進む中、人間にしかできない仕事の真価が発揮される

裕:吉岡さんのようなマーケットを熟知されている方から見て、今後注目の業界はありますか?

吉岡:やはり情報産業の分野が、今後さらに伸びてくるでしょうね。当然ながらAIやロボット開発などの分野からは、引き続き目が離せません。特に急速に伸びているのが情報セキュリティ関連の企業です。まだ企業名を聞いてもピンとこないかもしれませんが、今後の需要を考えると将来的に必ず伸びます。

裕:なるほど。その一方で情報産業以外ではどういった分野が伸びてくると思いますか?

吉岡:人間が介在する意味のある仕事は、AIが参入した時にその価値が浮き彫りになると思います。人材業界を例に挙げると、求職者に企業を紹介する際、条件だけならロボットにも提示できますが、その企業ならではの雰囲気やにおい、肌感覚というのはAIには読み取れません。そういった点では、コンサルなどの分野も今後ニーズが高まってくるはずです。

働く姿を想像すれば、「質疑応答」の質問は自ずと見つかる

裕:吉岡さんが求職者にされるアドバイスとしては、どんなものがありますか?

吉岡:これは皆さんにも是非やってもらいたいんですが、その企業で働く様子をなるべくリアルに思い描いてもらうようにしています。上長はもちろん、同僚や部下になる人に会うことも含めて、そこで働くイメージをつかむ。そうすると、そこでやっていけるかどうか、そのために必要な能力は何かが見えてきます。転職者と面談する際には、そのイメージが明確になるまで必ず質問してもらうようにします。

裕:新卒採用の面接では、面接官に「何か質問は?」と尋ねられて「特にありません」と答える学生も多いんですが、その回答はNGでしょうか?

吉岡:実際にそこで働くイメージをしていたなら、質問がないわけがないんです。「部署の座席順はどういう配列ですか?」など、何でもいいと思います。そういう質問を通して、会社の雰囲気や働き方など大事な部分を感じ取ってほしいですね。

裕:最後に吉岡さんから若者に向けてメッセージをお願いします。

吉岡:CAMPのテーマは「はたらくを楽しもう。」ですが、実際に働く中では楽しいことが2割あれば多い方だと思います。大切なのはこの2割をどれだけ充実させられるか。そのためには自分の中で目指したい将来像を明確にして、そこに向かって努力することが大事です。AI時代の到来に伴い大幅リストラなど様々な議論が交わされていますが、今後もマーケットはまだまだ変化していくと思います。この変化の早い時代の中で「はたらくを楽しむ」ためにも、自分の方向性をしっかりと定め、就職活動を頑張ってください。

裕:今日は業界のリアルについてお話を伺う中で、就活を始める上での重要なヒントがたくさん得られたと思います。吉岡さん、貴重なお話をありがとうございました!