現役ヘッドハンターが語る!業界地図でもOB訪問でも見えてこない、業界の真相とは

就活解禁が目前に迫った2月下旬、全国5会場で『CAMP SUMMIT2018〜就活Kick Off〜』が開催されました。当日は、CAMPキャプテン佐藤裕の講演やゲスト対談、学生とCAMP CREWによる座談会といったプログラムが行われ、ここでしか聞けない社会人の生の声に、学生たちは熱心に耳を傾けていました。今回はその中から、224日に開催された大阪会場の模様をお伝えします。現役ヘッドハンターの粟井英仁さんを特別ゲストにお迎えし、業界のリアルやマーケットの今後についての貴重なお話を伺いました。

メガバンクに見る人員削減は、今後さまざまな業界で起こり得る

佐藤裕(以下、裕):まずは簡単に粟井さんの自己紹介をお願いできますか?

粟井英仁(以下、粟井):はい、現職はヘッドハンティング会社の代表取締役として、転職支援事業を中心に個人のキャリアサポートや、企業から「こういう人材がほしい」と依頼された際の採用支援などに携わっています。

裕:学生のみなさんには、粟井さんのお話を通して、ぜひ業界の裏側を感じてほしいと思いますので、よろしくお願いします。早速ですが、まずは最近話題の金融業界について。まず基本的なところですが、金融業界とは具体的にどんな業界を指しますか?

粟井:一般的なイメージでいうと銀行、証券、生命保険、損害保険ですよね。そこにもうひとつ、近年新たに加わったのが「フィンテック」と呼ばれる金融テクノロジーの分野です。今、業界には仮想通貨やブロックチェーンといった最新の技術がどんどん入ってきており、これから金融を定義するにあたり、欠かせない領域だと思います。

裕:金融業界というと、メガバンクのリストラが相次いでいますが、いかがでしょう?

粟井:人員削減については、今後さらに進んでいくでしょうね。銀行窓口の中にいる銀行員の仕事はAIに代替される可能性があります。ちなみに、アメリカの場合、彼らのほとんどは契約社員です。リストラが進むというのは、彼らの能力に問題があるわけではなく、ただ代替するものが出てきてしまったというだけのこと。昔は人が並べていたボウリングのピンを、今では機械が並べているのと同じことです。

裕:なるほど。同じ金融業界の証券会社や生命保険会社などでも、人員削減は進んでいくのでしょうか?

粟井:だと思います。すべての金融機関には取引の履歴、つまり決済があるのですが、それが今フィンテックに奪われようとしている。人がやれば必ずどこかでミスが出ますが、機械なら速く確実に処理ができる。単純労働のほか、膨大なデータを蓄積・処理したり、データ分析をして最適解を導いたりといった仕事についても、扱えるデータ領域や処理能力についてコンピュータが圧倒的に人を上回ります。これは金融に限ったことではなく、今後さまざまな業界で言えることですし、5年10年という近い未来に、様々な業界でどんどん人員削減が行われていくと思います。

表層的な情報から一歩踏み込むことで、企業の裏側が見えてくる

裕:では業界を変えて、メーカーについてはどうでしょう。学生の中には、メーカーは安定というイメージを持っている人も多いと思うのですが。

粟井:一言でメーカーといっても、非常に幅広いですし、業界の再定義も必要だと思います。みなさん、日系大手自動車メーカーのライバルはどの企業だと思いますか?真っ先に他の自動車メーカーを浮かべる方もいるでしょうが、今では自動運転技術を有するIT企業もライバルですよね。そう考えると、個々の企業としては今後、競合が増えていくので不安定かもしれない。しかし一方で業界全体としては活性化されるので、安定していくと捉えることもできます。

裕:なるほど、何をもって安定というかによって見方が変わりますね。

粟井:おっしゃる通りです。例えばアメリカのある製薬会社は、現在まで30年以上も株価が上昇し続けています。株価を上げ続けるには安定的に利益を出す必要がある。そのため景気が悪い時には、リストラをします。株価だけ見ると素晴らしい企業ですが、雇用という観点から見ると、非常に厳しいし不安定なわけです。だからみなさんは、雇用と製品や業績、それぞれの観点から検討していくことが重要かもしれません。

裕:多様な視点を持つということですね。そうなると、例えば2つのメーカーがあった場合、どちらの企業が今後成長していくかというのはどういったところで判断できますか?

粟井:一歩踏み込んだ情報を知るというのは、1つのヒントですね。例えば製薬会社なら、開発パイプラインと言って開発中の新薬に関する情報をHPなどで公表しています。それを見ていくとパイプラインが豊富な企業とそうじゃない企業が分かる。A社は知名度は高いけどパイプラインは3品しかない。一方でB社は知名度では劣るが10品あるとしたら、B社の方が有望なんです。外資系企業なら本国のHPをチェックするなど、表層的なところから一歩踏み込んだ企業の裏側を探ることが大事になりますね。

ソフトの面で自分磨きを止めない人が、キャリアの成功を手にする

裕:最後にぜひ伺いたいのですが、ヘッドハンティングされる人にはどんな特徴がありますか?

粟井:もちろん、実績を出し続けることは重要です。ただ社外の人に注目されないことにはハンティングされようがないので、外部との交流は不可欠です。外部に知られて初めてヘッドハンターから声がかかります。その後、実際に転職し成功する人材は、どういう人かというと、もれなく謙虚さ・誠実さなど人間としてのソフトの部分に魅力がある方です。実績やスキルといったハードの部分だけではない、人間力を磨き続けられる人が、異なる環境にも適応し、成果を出し続けられるのではないかと思います。

裕:なるほど、学生も将来のキャリアをイメージする上で非常に参考になったと思います。粟井さん、今日は貴重なお話ありがとうございました!今回触れたのは一部の業界ですが、大事なことはすべての業界に裏があるという認識を持つこと。学生のみなさんは今後、業界研究をする際にはそのことをぜひ意識してみてください。

 

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