CAMP SUMMIT 2017【第2部】「人事の本音ディスカッション(東京篇)」

マニュアル通りの就活をやめ、自身のキャリアを深く考察することをテーマに、全国5都市で開催された『CAMP SUMMIT 2017~はたらくを楽しむ人の流儀』。ここでは8月7日に東京で開催されたイベントの第2部「人事の本音ディスカッション」の模様をお伝えします。本イベントの最終日となった今回も、ここでしか聞けない現役人事担当者の本音や学生のみなさんへの熱いエールが飛び交いました。

<登壇者プロフィール>
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サントリー食品インターナショナル株式会社 人事部 課長
牛山 頼基 氏

ソフトバンク株式会社 人事本部 採用・人材開発統括部
人材採用部 採用推進1課 課長
小山 亮 氏

日産自動車株式会社 人事本部 日本タレントマネジメントグループ 課長
品川 裕祐 氏

日本航空株式会社 人財本部 人事部 採用グループ長
伊勢谷 光彦 氏

パナソニック株式会社 採用部 採用課 課長
米山 雅武 氏
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「“今の姿”よりも“入社後の姿”がイメージできるかを重視」
佐藤裕(以下、裕):それでは、早速まいりましょう。
まずは、みなさんの「学生を見るポイント」について教えていただけますか。

ソフトバンク 小山 亮 氏(以下、小山)当社が一番注力して見るポイントは、学生時代にやり切ったことは何かということです。ひとつのことをやり抜いた経験のある学生には、入社後、いろいろな課題に挑戦してもらう際にも再現性が期待できます。

パナソニック 米山 雅武 氏(以下、米山)そこは当社でも重視しているポイントですね。あとは、現状に満足しない姿勢があるかどうか。優秀だと感じる学生は何かを成し遂げた経験があるだけでなく、自分で課題を見つけて少しでも上を目指そうとする姿勢が見えます。刻一刻と変化する市場環境に合わせて、柔軟に変化し成長していこうとする姿勢は社会人として不可欠です。

日本航空 伊勢谷 光彦 氏(以下、伊勢谷):入社後の姿がイメージできるかどうかは、どの企業でも重視するポイントですよね。当社には“熱意×能力×考え方”という成功の方程式がありますが、面接ではさまざまな会話を通して物事の捉え方・取り組む姿勢を確認しています。我々が知りたいのは現時点でどうかということではなく、磨くことで当社の社員としてどのように活躍してくれそうかという点です。

日産自動車 品川 裕祐 氏(以下、品川)そういった部分を見極めるためにも、当社ではエントリーを希望する学生に事前にワークショップに参加してもらいます。短時間で行う1対1の面接では上手く自分を演じきれる学生でも、3時間のグループワークの中で、どうしても隠しきれない我の強さや本心などが見えてきます。ディスカッションで反対意見にどう対応するか、意見をちゃんと主張できるか、またグループの意見を上手くまとめられるかといった当社が重視しているリーダーシップについては特に注視していますね。一方で学生にとっても、ワークを通してエントリー前に当社の文化や雰囲気を理解してもらう機会として設定しています。

「AI判定や手書き指定、エントリーシートの裏にある狙いを意識して。」
小山:当社では今年からエントリーシートをAIが判定しています。現時点では、人工知能はまだ完璧とは言えないので、AIが不合格と判定した学生については再度人事が見直すようにはしていますが、作業効率はグッと上がりました。また、もちろん経験のある人事が選考を担当していますが、人間が判断する以上、感情や固定概念の影響がないとは言い切れないので、よりフラットに評価するという意味でもテクノロジーの力を活用しています。

サントリー食品インターナショナル 牛山 頼基 氏(以下、牛山):膨大な量のエントリーシートの読み込みは本当に大変ですよね。当社の場合は手書きで提出してもらうので、このひとの意気込みはすごいなとか、想いはあまり強くないけど経験値は高いなとか、内容だけでなく熱意も感じ取ることができます。

裕:そういった熱意はどこで判断されるんですか?

牛山:たとえば文字を丁寧に書いているかという点がそのひとつです。上手い下手ではなく、一生懸命書いているかどうかは筆圧からも判断できます。文字以外の部分でも、余白が多かったり誤字脱字が多かったりなど、熱意があればこういう書き方にはならないなというのはパッと見ただけでも判断できますね。

品川:当社ではTOEIC730点という基準を設けて、英語力によるスクリーニングをしているので、提出されるエントリーシートをすべて読んでいるわけではありませんが、基準をクリアしたものについては責任をもってしっかりと読ませてもらいます。

裕:ちなみに写真についてはいかがですか?最近は写真の加工技術などにより実際のお顔と違うケースも多いと思いますが(笑)。

伊勢谷:多いですね。「この職種を受けるならここの写真館がいい」というような情報も学生の間で出ているようですが、別に写真館で撮ったキレイな写真かどうかを判定しているわけではないですから。たまに「海で撮ったのかな」というスナップ写真があって、そういうのはさすがにどうかと思いますが(笑)、基本的には顔が視認できる写真であれば問題ありません。

裕:学生のみなさんはまず何が大事かということを考えてほしいですね。エントリーシートで手書きを指定されたなら、なぜ手書きの必要があるのか。企業がそれを求める理由を考えながら準備するといいと思います。

「就活は、自分と企業のマッチングの場。自分を見失わずに取り組んで。」
裕:選考を通して、就活生についてヘンだなと思う部分はありますか?

品川:面接では学生のみなさんと会話のキャッチボールをしたいんですが、それができないケースが多々あります。たとえば「弱みは何ですか」と聞いているのに自分の強みの話ばかりをする。恐らく就活のマニュアル本に「弱みを言いながら強みを言え」と書いてあるんだと思いますが、そういうマニュアル通りの受け答えをされると、コミュニケーションができないという印象を抱いてしまいます。

牛山:面接で一番多いパターンです。こちらとしても用意された回答ばかりは聞きたくないので、なるべく違う角度から質問をしてみなさんの本音を聞き出そうとします。それでもなおスイッチが入ったかのように用意してきた回答をされたり、集団面接でも周囲を気にせず3、4分間、一方的に自分の話ばかりされたりすると、こちらの聞きたいことがなかなか聞けないので困ってしまいますね。

米山:話の中身だけでなく、雰囲気や印象も含めて判断しますから、自分の言葉で自分の色を出せる受け答えをすることが大事ですよね。最近は落とすためのネガティブな質問をするより、学生の長所を拾い上げようとする企業が増えていると思うので、端的に答えて多くの質問を受けた方が、長所をアピールできるチャンスも増えると思います。

伊勢谷:今は情報収集が非常に簡単な時代なので、みなさん情報過多になっているんじゃないかなと。先ほどの写真の話もそうですが、どうすれば入社できるかという入口のところばかりを見て、情報に惑わされている学生が多い気がします。就活はあくまで自分と企業が合うかどうか確認をするマッチングの場なので、自分を見失わずに取り組んでほしいと思います。

小山:要は答え探しになっているんですよね。これまでの学生生活にはテストで良い点を取る、部活で試合に勝つなど明確な答えがあったと思いますが、就職には正解がありません。入社したい企業があって、そのために頑張る気持ちは分かりますが、就職をゴールに設定すると、企業に合わせて何かを被った状態で面接をするわけですよね。それを入社後も被り続ける覚悟があるのならいいですが、往々にして「やっぱりそうじゃなかった」と言って入社後にミスマッチが起こるわけです。

「自分にできることを増やしていく中で、好きな仕事が生まれる。」
裕:よく学生からの質問で、「好きなことを仕事にするべきかどうか」というテーマがありますが、これについてはいかがでしょうか?

牛山:当社でも「食べること飲むことが好き」というアピールをされる学生は非常に多くて、好きか嫌いかで言うと好きに越したことはないのですが、「これじゃないと嫌」という狭い好きだと難しいと思います。というのも入社後には思いもよらぬ異動や人との出会いがあり、他者から教えてもらいながら自分の領域をどんどん広げていく必要があるからです。まずは自分の“好き”の範囲が狭くないか、極端すぎるこだわりがないか、一度周囲にチェックしてもらった方がいいと思いますし、自分の“好き”を広げながらそれを追求していくのは非常に良いことだと思います。

小山:好きなことの方がエネルギーを注いでも疲れないですし、成長意欲も湧くので、できればそうした方がいいですよね。ただ、世の中甘くないのも事実で、どこかで折り合いをつけるタイミングもやって来ます。そうなった時に自分に何ができるのかを考え、自分の選択をいかに正しくしていくかが重要になってくると思います。

米山:僕も正直、パナソニックは第一志望ではありませんでした(笑)。でも入社して自分にできることが増えていく中で、やりたいと思える仕事が生まれてきました。そういう意味では最初から仕事を選ぶのではなく、自分にできる仕事を増やしていく中で好きな仕事と出会っていくのも、長い目でキャリアを見た時の考え方のひとつだと思います。

裕:“好き”を貫ける人は幸せだと思いますが、そうじゃない人も非常に多いと思いと思います。最初から可能性を狭めるのではなく、後々好きになれるくらい頑張れる環境や想いが込められる仕事を探すといいかなと思います。今回のようにビジネスマンのリアルな声から気づきを得ることが、はたらくを楽しむ1歩につながると思うので、学生のみなさんは就活以外の場所でもぜひ企業や社会人と向き合う機会を増やしてくださいね。