CAMP SUMMIT 2017【第2部】 「人事の本音ディスカッション(名古屋篇)」

全国5会場で開催された『CAMP SUMMIT 2017~はたらくを楽しむ人の流儀』。今回は8月1日に開催された名古屋会場の第2部「人事の本音ディスカッション」の模様をお伝えします。就職活動や採用について人事が思っていることとは?多彩な業界の現役人事担当者の言葉から、社会の裏側や“リアル”が見えてきました。

<登壇者プロフィール>
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株式会社エイチーム 社長室 人材開発グループマネージャー
菊池 武彦氏

名古屋テレビ放送株式会社 人事部長
馬場 研二氏

株式会社プロトコーポレーション 管理部部長
福本 淳氏
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「企業ごとに異なる“ベンチャー”の定義を見極めて。」
佐藤裕(以下、裕):本日は、様々な業界の人事のみなさんに集まっていただきました。よろしくお願いします。では、早速ですが、みなさんが面接で「学生を見るポイント」について教えて下さい。

名古屋テレビ放送 馬場研二氏(以下、馬場):当社では、学生の挑戦意欲を見ています。「テレビ離れ」が叫ばれる昨今、テレビ局に求められる役割は従来のような良い番組や報道を追求することに留まらなくなっています。SNSや動画配信サイトといった新たなメディアとの協力も視野に、自らの手で新しいコンテンツを展開していきたいという気概のある学生を求めています。

エイチーム 菊池武彦氏(以下、菊池):挑戦意欲は、当社でも重視しています。当社ではスマートフォン向けのアプリ開発やウェブサービスの運営など、比較的新しい事業に取り組んでいることもあり、世の中にないものを生み出したいというベンチャーマインドが必要です。

裕:「ベンチャー」は学生が好きな言葉のひとつですが、具体的にはどのような意味で使われていますか?

菊池:当社の場合、いわゆる“立ち上がり”ではなく、“成長企業”という意味で使っています。企業として常に成長を目指す。そしてその実現のために、成長意欲を持った学生さんと一緒に働きたいという想いがあります。

プロトコーポレーション 福本淳氏(以下、福本):当社は創業40年になりますが、当社も自分たちのことをベンチャー企業と言っています。当社の場合は好奇心や素直さを大切にするという意味が大きいですね。

裕:なるほど。今のお話にもあった通り、企業ごとにベンチャーという言葉の定義は異なります。言葉の使い方で社風が見えてきたりしますし、学生は自分が思うベンチャーとその企業のベンチャーの定義にズレがないか、必ず確認するようにしてくださいね。
ちなみに少し話が変わりますが、最近増えている安定志向の学生についてはどう思いますか?

菊池:安定を求めること自体は、決して悪いことではありません。ただ、社会が急速に変化していくこれからの時代、今までと同じやり方を続けていくだけでは、企業は現状維持ではなく衰退に向かっていきます。変化に適応していくために新しいことへのチャレンジは必須ですし、そこで生まれる創意工夫が、個人、企業双方の成長につながっていくのだと思います。

裕:僕はこれからの時代の安定は、自分に何が起きても安心していられる力を持つことだと思うんですね。例えば「明日からクビ」と言われても「他から声がかかっているので大丈夫です」と言えるような。そんな汎用性のある高い能力を身につけることを、学生のみなさんには意識していただきたいです。

「大切なのは内容よりも伝え方。非言語のコミュニケーションができているか。」
裕:「学生を見るポイント」について、その他いかがでしょうか。

福本:当社が重視しているのは、書類や面接での“伝え方”です。人事は膨大な人数の学生を選考していますので、エントリーシートや面接の内容をそこまで見ていられないというのが実情です。履歴書であれば相手が読みやすいような論理的な文章で書かれているか、面接であれば声の大きさや笑顔があるかといったポイントの方が実は内容よりも遥かに印象に残りますし、パフォーマンスの高い学生はその辺りで努力が感じられます。

馬場:伝える力がある学生からは熱意が感じ取れますし、入社後の活躍もイメージしやすいですよね。チームビルディングという観点からも自分の想いを伝える力は、非常に大事だと思います。

裕:自己表現の仕方やプレゼン能力などを見ることで、入社後の活躍をイメージしているわけですね。具体的にはどんなタイプの学生が印象に残りますか?

福本:最近は、基本的なことができていない学生も多いので、そこがしっかりしているだけでも印象に残ります。例えば、会社説明会に遅刻しない、しっかりと挨拶ができる、あとはこちらが冗談を言った時に笑ってくれる学生も好印象ですね。そういう場においては笑うことが相手に対する配慮になりますし、こちらの意図をキャッチしてくれたということも分かる。会社説明会などでも頷いたり、笑ったりと非言語のコミュニケーションができる学生は印象に残ります。

裕:そのような行動特性は社会人になっても出ますからね。会社説明会に遅刻してくる学生に対して、人事は当然入社後のリスクを感じます。学生のみなさん、ぜひ企業が何を見ているのかを想像するようにしてください。決して難しいことではないです。面接する側の立場が理解できれば、どう行動すべきか自ずと見えてくると思います。

「面接だけではない、控室での“素”の姿も重要な判断材料。」
菊池:面接をしていて思うのは、本当に学生さんがみんな同じようなアピールをするということです。中でも「サークルでキャプテンをやっていました」「アルバイトでこういう成果を出しました」というパターンが非常に多い。ただ、大事なのはそこで自分がどんな経験をして何を得たのかです。「キャプテンだからすごい」というような目的と手段がズレたアピールでは何も伝わらないので、ぜひ自分らしさが伝わる形でアピールしてほしいです。

福本:就職支援団体や大学のキャリアセンターは就職活動のいろいろなアイデアを与えてくれると思いますが、その内容はみんなも学んでいることです。周りがそういうアピールをするなら自分は敢えて違うことを言おうなど、周囲との比較を考えてみてもいいかもしれません。あまりにも面接の受け応えが同じで学生の良し悪しが判断できないので、最近、当社では面接以外の部分でも学生を見るようにしています。例えば電話をかけた際に何コールで出るか、第一声のトーンはどうかといったこともチェックしています。

馬場:控室の様子は当社でも見ていますね。待ち時間に学生がどんな態度でどういう話をしていたかなど、後で受付の担当者から聞いています。面接中と違って油断している学生が多いので、そういう部分をチェックしている企業は少なくないと思います。

菊池:こういう話をすると人事って人が悪いなと思われるかもしれませんが(笑)、要はみなさんの素を見たいだけなんです。当社ではインターンシップを実施していますが、素を見ることは重要な目的の1つです。グループワークのような実践的な課題に取り組む中で、思考プロセスや性格など、学生の素の部分が自然と見えてきますね。

裕:インターンシップに参加した方が、選考が有利ということはありますか?

馬場:採用につながればいいなという想いはもちろんありますが、当社の場合、純粋に学生と社員の触れ合う機会を増やすことが目的なので、必ずしも有利になるとは言えませんね。どちらかというと仕事についての理解を深めてもらう中で、当社のファンになってもらおうという意図が強いです。

「自分らしさとは、自分と他者との間にあるもの。」
裕:企業に自分らしさを伝えるためには、学生自身の自己理解を深めることがとても重要だと思います。何か良い方法はありますか?

福本:僕は自己理解とは自分らしさをどう表わすかだと思っています。自分らしさというと、自分の中にあるものだと思っている人が多い気がしますが、仮に地球上に自分一人しかいないとしたら、自分らしさは感じられないと思うんですね。つまり自分らしさは他者がいてはじめて見つかる、自分と他者との間にあるもの。同世代の人や社会人と比べて自分は何がどう違うか。まずは他者の中に自分を置いてみることで、自己理解が進むと思います。

馬場:おっしゃる通り、自分自身だけを見続けていてもなんだかよく分からなくなってしまいますよね。様々な人とふれあい、様々なことに挑戦する中で、自分の思いがけない一面に気づくことは多いのではないでしょうか。

菊池:自分の思考を可視化することも有効だと思います。例えば、好きなことややりたいこと、逆に嫌いなことや絶対にやりたくないこと、こういったものを一度全部書き出してみると、自分の価値観やこだわりが見えてきたりするので、ぜひ一度試してみてください。

裕:様々なアドバイスありがとうございます。みなさんのお話にもあったように、嫌なことや想像していなかったことに思い切って飛び込んでみるのも自分を知るひとつの方法だと思います。学生の今だからこそ、どんどん新しいことにチャレンジして、自己理解を深めてほしいと思います。人事のみなさん、本日はありがとうございました。