CAMP SUMMIT 2017【第2部】「人事の本音ディスカッション(札幌篇)」

全国5会場で開催された『CAMP SUMMIT 2017~はたらくを楽しむ人の流儀』。今回は、7月25日に開催された札幌会場の第2部「人事の本音ディスカッション」の模様をお伝えします。メーカー、協同組合、マスコミと多彩な業界の人事のみなさんにご登壇いただき、本音を語っていただきました。

<登壇者プロフィール>

株式会社ニトリ 人財採用部 マネジャー
永島 寛之 氏

ホクレン農業協同組合連合会 人事部 人事課
里城 緑 氏

北海道放送株式会社 総務局 人事部 部長
吉田 智彦 氏

「“好奇心”から行動したことなら、言葉にも自然と厚みが出てくる。」
佐藤裕(以下、裕):本日は、異なる業界の人事のみなさんにお集まりいただきました。様々な角度からお話を伺い、社会の本音、いわゆる“裏側”について探っていきたいと思います。それでは、早速お伺いします。まずは面接などで「学生を見るポイント」について教えてください。

北海道放送株式会社 吉田氏(以下、吉田):当社では、仲間として一緒に働きたいと思えるかどうかという視点で学生を見ております。職種にかかわらず番組づくりをする上でチームワークは不可欠です。一緒に働いたら楽しそうだなとか、どう成長してくれるかなとワクワクさせてくれるような学生は大歓迎ですね。あとは北海道に根差す放送局として「北海道のこういうところを全国に発信したい」といった、地域への熱い想いを持っているかも重視しています。逆にそのような情熱や放送に対する夢がない学生はちょっと寂しいですね。

ホクレン農業協同組合連合会 里城氏:本会も北海道の農業を支える仕事である以上、やはり地域への想いはマストになります。面接で「僕は北海道米が好きなのでお米の営業がしたいです」と言っているのに、好きな北海道米の品種を尋ねると答えられないというような学生もいます。難しい勉強はしていなくてもいいので、まずは自分が好きなこと、関わりたいと思っていることは最低限掘り下げてきてほしいと感じますね。

:地域というテーマは就職活動における重要なポイントですね。道外の企業を受ける際にも「なぜ北海道で就職しないの?」と必ず聞かれますし、企業ごとの地域性の捉え方を押さえた上でのアピールが大事ですね。その辺り、永島さんはいかがですか?

株式会社ニトリ 永島氏(以下、永島):当社ではどちらかというと、北海道よりは全国、全国よりは世界というように、グローバルな視野を持っている学生の方がいいですね。当社の創業者である似鳥昭雄の著書『ニトリ 成功の5原則』(朝日新聞出版)の中にもロマン・ビジョン・意欲・執念・好奇心の5つがあれば何でもできると書いてあるのですが、特に好奇心は行動の原動力となるので重視して見ています。ロマンやビジョンは、入社後に一緒に育てていくこともできますが、好奇心に関しては教育したからといってなかなか伸ばせるものではないので。

裕:なるほど。面白い視点ですね。好奇心がある学生というのは、社会に出た時にどのような活躍が期待されるんでしょうか?

永島:当社の国内事業は堅調に推移していますが、この状況がいつか頭打ちになるとの懸念もあります。その時、さらに成長していくためには、今、目の前にあるものに興味を持つだけでなく、未知のものに興味を抱ける資質が重要です。そういった観点から、面接でも学生時代に好奇心から行動したことがどれだけあるか、そこで何を得たのかを深く聞いています。

裕:「好奇心」と聞くと、メディア志望の学生の動機に多くあがりそうですが、面接のために用意されたエピソードというのは、やはり分かるものですか?

吉田:紋切り型の受け答えをしている学生は、すぐに分かりますね。たとえば「アジアの貧しい国々の暮らしが知りたくて、現地ボランティアとして働きました」というエピソードを語る場合でも、本当に好奇心から動いた学生であれば、ただ「行きました」「やりました」で終わるのではなく、語っている言葉に厚みが出てきます。

「『何を伝えたいのか』を意識したキャッチボールができるか。」
里城:本会が重視しているのは、会話力と印象力です。よく学生から「第一印象でほぼ決まるって本当ですか?」と聞かれることがありますが、あながち間違いではないと思っています。本会の職員の多くは何らかの形で営業に携わっていますが、その相手は生産者や各農協、食品メーカーなど多岐にわたります。価値観の異なる様々な方々にいい印象を抱いてもらい、スムーズに会話ができないことには仕事は始まりません。ですので、面接でも話している時の表情や振る舞い、会話のキャッチボールがちゃんと成立するかどうかは大事だと思いますね。

裕:確かに印象力はとても重要ですね。僕の場合、面接後に楽しかったなと思える学生には絶対に内定が出ます。外見の雰囲気や話の内容もありますが、やはり“楽しかった”という印象は一番大事だと思いますね。

吉田:外見の話でいうと、当社の一時面接は私服なんですが、以前、剣道着に竹刀を持って現れた学生がいました(笑)。インパクトはありましたが、面接で話してみると案外普通だなと。一応マスコミなので、創意工夫する子は面白いなと印象に残ることもありますが、自らハードルを上げることで結果的にマイナスポイントになる危険性も大いにあり得ますね。

裕:私服と聞くと、学生は何かトラップがあるんじゃないかと考え過ぎてしまうんでしょうね。先ほどの吉田さんのお話にもあった、一緒に働きたいかどうかという点にも繋がってきますが、学生のみなさんは、ぜひ、自分の何を見て欲しいかを考えた上で表現するようにしてくださいね。

「表面ではなく、企業を2歩、3歩深く知ることが大事。」
裕:続いて各社の採用の取り組みについてお聞きしたいと思います。

吉田:当社ではエントリーシートの中に、「写真であなたらしさを表現してください」という自己PRのページがあります。やはりマスコミとしてどの職種にもクリエイティビティを求めているので、その1ページでどう自己演出をするかが評価のポイントになります。たとえば「友達と一緒にいる時が一番自分らしいです」と友達に囲まれた写真が送られてくることがあります。それだと友達が多そうなことは分かっても、自分のPRという点ではいまいち伝わりません。面白いなと思う学生は、例えば選挙の応援ポスターのようなデザインを作ってきたり、写真の下にQRコードが貼ってあって、読み込むと「今、僕を採用するともう一人僕がついてきます!」と通販風の自己PR動画に飛んだりと随分手の込んだことをしてくれます(笑)。そういうところから文章だけでは分からない、センスを見ることができますね。

裕:要は、想いの工夫ですよね。自己PR写真を通して、企業側が何を見ているのかを踏まえた上で、自分がアピールできるポイントを探すといいかなと思います。採用の取り組みについて、里城さんはいかがですか?

里城:本会では職員との接触機会を増やしています。これは我々が学生を見るというよりは、学生に本会を知ってもらうという目的の方が強いですね。本会には約2,000人の職員がいますが、その中で人事担当者はたったの2、3人です。その2、3人だけでは組織の雰囲気は分からないと思うので、なるべくさまざまな職員と接触してもらって、本会の裏側も含めて見てもらえればいいかなと。こちらとしても良いところだけを見せて、入会してもらえばそれでいいとは決して思っていません。やはり入会後に「ここに入ってよかった」と思ってもらいたいので、ギャップによるミスマッチを避けるためにも、座談会や交流会といった機会を設けるなど試行錯誤しているところです。

裕:ギャップという言葉が出ましたが、永島さんいかがでしょうか?

永島:当社の場合、店舗の印象が強いと思うんですが、その裏では商品の90%以上を自社製造するメーカーであったり、中国からアメリカまで進出しているグローバル企業であったりします。その辺りがどうしても伝わりづらいため、やはり当社でも商品企画やグローバルの担当者に会ってもらうなど、学生に会社全体について知ってもらう機会を増やしています。

裕:学生のみなさんには、ぜひ企業の表面的な情報ではなく、そこから2歩、3歩深掘りした情報まで調べる癖をつけてほしいですね。

「『楽しもう』は『ラクしよう』ではない。働きながら、夢やビジョンを洗練させて。
裕:それでは最後に学生へメッセージをお願いします。

永島:「はたらくを楽しもう」という想いはありますが、「楽しもう」って「ラクしよう」ということではないですよね。基本的に働くということは何かを目指すことであり、それ自体はすごく大変なことなので、入社当初は理想とのギャップや辛さを感じるかもしれません。しかし、少しずつ自分にできることが増えていく中で、ギャップが縮まり、自分の中にある夢やビジョンもより洗練されていくものだと実感しています。就職活動中からできるだけ多くの企業や社会人に会うことで、まずはブランドや業界への思い込みを排除し、自分の活躍すべき場所を見極めてほしいと思います。

里城:人事として学生とかかわる中で、年々「社会人になりたくない」という雰囲気が強くなっている気がしますが、一社会人として、社会に出て働くってそんなに悪くないということをお伝えしたいですね。もちろん学生時代の方がラクな面もあるかもしれませんが、社会人にならなければ得られないような達成感や楽しさというのはたくさんあるので、あまり怖がらずに希望をもって社会に飛び込んできてほしいと思います。

吉田:私が仕事をしていく上で常に思うのは、いろんな人の助けがあって今の自分があるということです。これから就職活動をしていく中で、さまざまな企業や人と出会い、時には辛いこともあるかもしれません。でも、どんな時もいろんな人が自分を支えてくれているということを忘れないでほしいです。そうした周りへの感謝を持っている学生というのは、面接でもやはり魅力を感じますし、そういう気持ちを常に抱きながら頑張ってほしいと思います。

裕:普段聞けない、様々な人事の本音が聞けたのではないでしょうか。相手が求めていることを理解し、正しい業界研究と正しい自身のアピールで、納得のいくキャリアを歩んで頂きたいと思います。人事のみなさん、ありがとうございました。