CAMP SUMMIT 2017【第3部】佐藤裕×川栄李奈「はたらくを楽しむ対談」

マニュアル通りの就活をやめ、自身のキャリアを深く考察することをテーマに、全国5か所で開催された『CAMP SUMMIT 2017~はたらくを楽しむ人の流儀』。多くの学生にご参加頂き、大盛況で幕を閉じました。本レポートでは、女優の川栄李奈さんに特別講師としてご登壇いただいた第3部をご紹介。アイドルから女優へ。川栄さんが考える「はたらくを楽しむ」ための流儀とは何か。ご自身のキャリアや仕事観について、学生へのエールとともにお届けします。

「お芝居をしたい!という想いが女優への一歩に」
佐藤裕(以下、裕):
みなさんご存じの通り、川栄さんのキャリアのスタートはアイドルですよね。

川栄李奈さん(以下、川栄):はい、15歳の時にAKB48のオーディションに合格したことがきっかけでした。友達に誘われ、ダメもとでオーディンションに参加したので、合格を知った時には正直戸惑いました。

裕:業界への強い憧れがあったわけではないんですね。

川栄:テレビで観てAKB48のことは好きでしたが、入るまでは劇場公演をしていることすら知りませんでした(笑)。最初は研究生という見習いのようなところでレッスンを受けるんですが、もともと歌やダンスが苦手なこともあり、当時はとても辛かったですね・・・。

裕:いわゆるギャップですよね。同じようなことは学生が就職した時にも起こります。自分の思い描いていたイメージと現実とのギャップに耐え切れず、ドロップアウトしてしまう人も少なくありません。

川栄:私も最初のうちは、ずっと辞めたいと思っていました。でも一緒に受けた友達をはじめ、オーディションに落ちて悔しい思いをしている人がたくさんいる中で、受かったからには頑張ろうと決意を固めました。

裕:その結果、トップアイドルとして活躍されるようになったわけですが、世間から見るとアイドルとして「まだまだこれから」というタイミングで女優に転身されました。川栄さんのキャリアにおける大きなターニングポイントになったと思いますが、何かきっかけがあったんですか?

川栄:お芝居との出会いですね。私は、小さい頃から特に「これがやりたい!」ということがあまりないタイプだったのですが、AKB48に入り、お芝居をする機会が増える中で、「もっとお芝居をやりたい!」と強く思うようになりました。苦手だった歌やダンスにも慣れて楽しい時期ではありましたが、ずっと一緒に頑張ってきたAKB48のメンバーも応援してくれたので、一歩踏み出そうと決めました。

裕:新しいことを始めるにあたり、不安はありませんでしたか?

川栄:不安より楽しみの方が強かったですね。思ったことは行動に移さないといつまで経っても実現しないので、「失敗したらまた違う形でやり直せばいいや」という気持ちでいました。それに仕事が変わっても、周りにいる友達や家族は変わりませんから。周囲が見守ってくれているという安心感も心の支えになりました。

「常に周りを見て、自分が求められているものを考える」
裕:
女優に転身されてから、何か意識するようになったことはありますか?

川栄:まずはグループから一人になったことに対しての自覚を持つようにしました。例えば、AKB48ではテレビやイベントなどでもチームのキャプテンが代表してしゃべってくれましたが、今は一人で受け応えをしないといけない。また、私はグループ内ではいわゆるおバカキャラを担当していましたが(笑)、そのままだとキャラの色が役づくりの邪魔をすると思ったので、女優になってからは、おバカキャラをなるべく隠すようにしました。

裕:なるほど。しかし、もともとあったキャラクターを隠すのは、なかなか難しいですよね。

川栄:簡単なところでいうと、普段からあまりしゃべらないようにするとか(笑)。雰囲気も以前に比べておとなしくしています。

裕:ご自身ではおバカキャラと言っていますけど、実は、僕から見ると川栄さんはとても賢いんですよ。自分が求められている役割を理解して実行できる、頭の回転の早さがあるということですから。川栄さんは、周囲をとてもよく見ているように思います。相手によって対応を変えることもありますか?

川栄:なんか、恥ずかしいです(笑)。そうですね。相手のタイプを見て、この人にはあまり主張し過ぎない方がいいなとか、逆に意見を言った方が理解してくれるかなとか、常に自分に求められているものを考えながらコミュニケーションをとることは心がけていますね。AKB48で15歳から大人と一緒に働く中で、周囲との関わり方も少しずつ学んでいきました。

「誰かのマネをするより、自分の中にある資質や個性に目を向けて」
裕:女優になった今、どんな時に楽しいと感じますか?

川栄:ドラマや映画の撮影が始まると、スタッフや共演者の方々と3カ月くらい現場で過ごすことになりますが、一緒に作品をつくり上げていく中でみんなの気持ちがひとつになる瞬間があるんです。そういう瞬間はすごく楽しさを感じますし、この仕事をしていて本当によかったなと思います。

裕:非常に川栄さんらしいやりがいですね。そこに行き着くまでのプロセスには、苦労もありそうですよね。

川栄:そうですね。例えば、役づくりをする際、自分と監督が考えるキャラクター像が違う場合には、お互いのイメージが一致するまで、何度も何度も話し合いを重ねていきます。

裕:一般的な企業でも自分の意思と上司の指示が異なることはよくありますが、意見が食い違った場合、川栄さんはどうするんですか?

川栄:ある程度、自分の意見を主張しますが、最終的に撮るのは監督なので、相手の意見を受け入れることが多いですね。作品はみんなで作り上げていくものだと思うので、監督に限らず周囲のキャストやスタッフとも常に話し合うようにしています。

裕:なるほど。これまで多くの方と仕事をされてきたと思いますが、働く上で尊敬するのはどんな方ですか?

川栄:女優の満島ひかりさんは、昔からずっと好きですごく尊敬しています。女優さんの中には、撮影期間はプライベートでもずっとその役が抜けないという方が多いんですが、満島さんはカットがかかった瞬間にスッと役から素に戻るというか、オンとオフの切り替えがとても上手な方なんです。直接お会いするまでは静かな印象を持っていましたが、ドラマで共演した際に、実はとっても明るい方だと知って、ますます好きになりました。

裕:そういう尊敬できる方に出会った際、相手のマネをする人も多いと思いますが、川栄さんはどのように自分の成長に結びつけていますか?

川栄:私の場合はマネをするのではなく、相手の良いところを参考にしながら、自分を冷静に見つめる機会にしています。満島さんの明るさは本当に魅力的だと思いますが、私自身は普段は人見知りでどちらかというと暗い性格なんです(笑)。そこで無理して満島さんのマネをしても彼女を超えることは絶対にできないと思うので、自分が元々持っている資質や個性を大事にしようと心がけています。

「好きなことの周辺を探る中で、新たなヒントが見つかる」
裕:
川栄さんはアイドルから女優への転身を経て、今こうして楽しくはたらいていますが、同世代の若者を見ていると、たとえ興味を惹かれることがあっても、なかなか挑戦できないという子が多くいます。

川栄:本人が満足ならそれでもいいのかなと思うのですが、でも、やりたいことをやるのが一番だと思います。自分の意志で行動したことなら、たとえ大変なことがあってもストレスは少ないですし長続きもしますよね。私自身、自分で決めた道なので、今は毎日が楽しくて、はたらいているという感覚もあまりないんです。

裕:そもそも自分がやりたいことが見つからないという若者も多いんですが、川栄さんは、やりたいことをどのように見つけていますか?

川栄:自分が好きなことを出発点にしています。犬がとても好きなので、ネットで「犬 仕事 初心者」などのキーワードで検索しながら犬に関する職種や資格について調べたこともありました。

裕:そうやって周辺を探っていく中で、結果的に、好きなことと直接関わりはなくても、何か興味の湧くことが見つかりそうですね。

川栄:やりたいことが見つからない人ってすごく多いと思うのですが、誰でもひとつは、好きなことがあると思います。それをヒントにどんどん行動を起こしていくことで、きっとまた別のヒントが見つかるので、後悔のないよう、諦めずに頑張ってもらいたいです。

裕:川栄さんはもともと夢を持っていなかったところからトップアイドルになり、そこから数年で、今こうして女優という夢を掴んで活躍されている。同じような変化が、これから社会に出ていく学生の皆さんにも起こると思うんです。そうした変化することの楽しさをイメージしながら、学生の皆さんにも、どんどん行動を起こしてもらいたいですね。

 

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