CAMP SUMMIT 2017【第2部】「人事の本音ディスカッション(大阪篇)」

マニュアル通りの就活をやめ、自身のキャリアを深く考察することをテーマに、全国5か所で開催された『CAMP SUMMIT 2017~はたらくを楽しむ人の流儀』。多くの学生にご参加頂き、大盛況で幕を閉じました。本レポートでは、第2部「人事の本音ディスカッション」の大阪会場の様子をお届けします。

<登壇者>
江崎グリコ株式会社 グループ人事部 新卒・キャリア採用担当
山口 郁未氏

関西電力株式会社 採用・キャリアアップ支援グループ マネジャー
阿部 真之氏

日産自動車株式会社 日本タレントマネジメントグループ 課長代理
東郷 茉莉氏

パナソニック株式会社 採用部 採用課 課長
米山 雅武氏

ロート製薬株式会社 新卒採用リーダー
蔵方 佑介氏

偽りでない「目的意識」をもって行動しているか
佐藤裕(以下、裕):今回は、採用におけるミスマッチの解消をテーマに、現役人事の皆さんによる“ぶっちゃけトーク”をお届けします。早速ですが、最初のテーマ「学生を見るポイント」からいきましょう。

関西電力株式会社 阿部氏(以下、阿部):当社では「目的意識」を重視しています。面接でも必ず聞きますね。例えばアルバイトの話題では、「なぜそのアルバイトを選んだのか」という質問です。どんな回答でも構いませんが、何か行動を起こす時には必ずそこに理由があるはず。それをもとに、皆さんがどんな目的意識をもって学生生活を過ごしてきたのかを見極めています。

江崎グリコ株式会社 山口氏(以下、山口):当社でも目的意識はチェックしますね。実際に社内においても、例えば営業なら売上目標を達成したかという成果評価と併せて、プロセス評価というものも取り入れています。どのような目標に対してどういったプロセスを踏んだのか、そこに各自の目的意識が非常に強く現れるからです。

パナソニック株式会社 米山氏(以下、米山):目的意識というと難しく聞こえるかもしれませんが、要は「想い」です。なぜそうしたのか、そうしたかったのかという率直な想いを、つくり込まれた言葉ではなく、皆さん自身の言葉でぶつけてほしいと思います。

裕:企業は目的意識を見ることで、その学生が入社後も自分自身で想いやプロセスをもって働けるかどうかをイメージしたいわけですね。それを就活用につくっても意味がないので、学生の皆さんにはぜひ本質的な目的意識をもってもらいたいです。

企業の数だけ、求めるリーダーシップ像がある
日産自動車株式会社 東郷氏(以下、東郷):
当社では「リーダーシップ」を重視しています。理由は2つありますが、1つは自動車業界が非常に裾野の広い業界であるということ。現代では部品会社や総合商社、広告代理店など、約10人に1人が何らかの形で自動車に関する仕事をしていると言われています。こうした中で完成車メーカーの社員には、どのような車をつくりたいのかといった指針をもち、周囲をけん引していく力が求められます。2つ目は当社がグローバル企業であることです。海外に約20拠点、約15万人の従業員がいる当社で、海外拠点にいる社員を束ねていく上でもリーダーシップはすべての社員に求められます。

裕:なるほど、逆にリーダーシップはそこまで重視していないという企業の方はいますか?

ロート製薬株式会社 蔵方氏(以下、蔵方):リーダーシップの定義にもよりますが、みんなの前に立って「やるぞ!」とリードするようなタイプであれば、当社ではそれほど求めません。その対極にあるフォロワーシップが強みであってもいいと思います。先ほどの目的意識の話にもつながりますが、ひとつの目標に向かう時に、まとまれる組織であればいいと思うんです。

阿部:確かに、たとえば「これを変えていきたい」と思った時に躊躇せずに行動できるというのもひとつのリーダーシップですよね。学生の個性やキャラクターによっても、いろいろなリーダーシップがあっていいと思います。

裕:一言でリーダーシップと言っても企業によって捉え方は違いますし、学生によってもリーダーシップのもち方は異なるということですね。そこを抑えず闇雲に「リーダーシップがあります!」というのは違うと思うので、学生の皆さんはぜひそこに注意してください。

「何をしたか」よりも、強みを定義してPRできることが大事
裕:では続いてのテーマ「自社の採用の取り組み」についてお願いします。

米山:パナソニックでは2005年から「我こそ選考」という採用方式を取り入れています。何かひとつ「これだけは人に負けない」という尖った強みのある人が集まれば、組織としてお互いの弱点を補い合いながら高いパフォーマンスを発揮できるのではないか。そんな思いから始めました。何かのナンバーワンという方も多いですし、「人助けをして表彰された」など、定量的な評価では測れない型破りな体験をされた方も結構います。

裕:そうした経験を実際にしたかどうか、確認されるんですか?

米山:そこは自己PRの世界なので、公式資料を求めているわけではありません。皆さんの強みが伝わるようなPR文書や新聞記事などを提出してもらっているので、面接する側も楽しませてもらっています。

:つまり何をしたかというよりも、自分の中で強みを定義し、しっかりと主張できることの方が重要ということですね。

米山:はい、そこが一番のポイントかなと思います。

年々進化する企業の情報をキャッチアップして
蔵方:ロート製薬では2017年卒の採用から面接による選考を止め、インターンシップ選考に切り替えました。そもそも当社には採用面接のようなシチュエーションの仕事がないのに、なぜそれを学生にやってもらっているのかという疑問があったんです。そこをシンプルにとらえ、当社で2~3日の就業体験を通して課題に挑戦してもらう中で、お互いについて知り、見極めてもらう方が合理的だと思ったんです。

裕:なるほど、私も新卒採用のエントリーシートを廃止しました。膨大な文章を書いてもらっても、それを見て判断することはないですから。履歴書に2〜3行、気合いを書いてもらう形式に切り替えました。

蔵方:当社もエントリーシートは2016年に廃止しました。また、20年ほど前からリクルートスーツを止めて私服で来てもらうようにしています。こうした取り組みは「そもそも何のためにしているのか?」という部分を考えるきっかけになるので積極的に行っています。

裕:ロート製薬様のように、企業がどんどん進化していることをキャッチアップすることはとても重要です。こうした情報は今日のような機会やネットなどで意外と簡単に得られるので、随時キャッチアップしながら、固定観念にとらわれない就活をしてほしいですね。

単なるファンから、商品を提供する側に視点を変える意識を
裕:それでは最後のテーマ「ここがヘンだよ就活生」にいってみましょう。

山口:敢えて強い言い方をするなら、当社では単なるファンはいらないと思っています。よく「ジャイアントコーンが大好きです!」と駆け寄ってくる学生がいるんですが(笑)、「だから入社したい」というところで思考が止まっているんです。働くということはファンから商品を提供する側に立場が変わるということ。ぜひそこを意識してほしいですね。

東郷:日産でも多いです。「旧車が好き」「最近のモデルはデザインがイケてない」など(笑)、その想いをもつことは大切ですが、じゃあ実際にそれをお客様が必要としているのかという視点が抜けている気がします。私たちは趣味ではなく、お客様の生活を豊かにするという大きな命題のもとで働いています。その企業が何のために商品をつくっているのか、そこをよく理解した上で企業を選んでほしいですね。

阿部:関西電力の場合、メーカーさんとは違って商品のファンという学生はあまりいませんが、代わりに「潰れなさそう」という安定志向のイメージに寄りかかった動機の学生はとても多いです。ただ電力の自由化が進み、電力会社も変革の時代を迎えている中で、当社としてはそういった安定志向の学生ではなく、自ら未来を切り拓いていける学生に来てほしいという思いはありますね。

:やはり企業側の視点をもつということは非常に重要ですね。商品や企業について知識を深めることももちろん大事ですが、人事にとっては商品や企業が好きという学生より、能力が高くて活躍を期待できる学生の方が魅力的ですからね。

大事なのは役職ではなく、何を考え、行動してきたか
東郷:日産では、よく学生が自身のリーダーシップをアピールしてくれるんですが、サブリーダーや副代表が非常に多くて。よくよく話を聞くと全員副代表なのでは?と思うようなエピソードが多々あります(笑)。私たちが知りたいのは、組織の中でその人がどのような課題意識を持って行動してきたかということ。肩書きはなくても「こんなことを考えて行動していました」と言えることが重要なので、就活のために敢えて肩書きをつくる必要はないと思います。

裕:副代表・サブリーダーに関しては、人事が飲みながら話したいキーワードですね(笑)。「学生を見るポイント」の話にもあったように、採用担当は同じリーダーシップという言葉の中でもさまざまな人材を求めています。無理にリーダーシップをアピールするくらいなら、別の能力を主張した方が良い印象を残せるんじゃないかと思います。本当の自分を伝えるためにも、このサブリーダー・副代表の使い方は慎重に考えた方がいいですね。

入社後、その能力をどう活かせるか。企業がイメージできるところまで伝えてほしい
米山:最近は商品でも、モノではなくコトにお金を使うと言われていますが、就活も同じかもしれません。面接で、非常にいいものを持っているのにPRの仕方で損をしているなという学生が多くいます。もう一言突っ込んだ表現にしたり、少し視点を変えたりするだけでいいので、採用後にその能力をどう活かせるか、企業がイメージできるところまで伝えてください。企業がどこを見ているのかを頭の片隅に置いておくだけでも、伝えるべきことは何かが見えてくるはずなので、ぜひ意識してもらいたいですね。

蔵方:おっしゃる通り、シチュエーションやストーリーを語るなど、そういうところも含めて自分をどう売り込み、表現できるかは重要だと思います。

裕:なるほど、学生の皆さんには自分と企業の常識を擦り合わせながら、自分自身をより深く理解し、企業に伝えてほしいですね。

学生へのエール
裕:
では最後にお一人ずつ、学生にメッセージをお願いします。

山口:私の好きな言葉に「始めるから始まる」というものがあります。何かよくわからないけど始めてみたら心がザワついて何かが始まることが絶対にあると思うので、ぜひ学生の間にどんどんチャレンジをしてください。

阿部:自分が将来「こうなりたい」というライフデザインを想い描きながら、就活中はもちろん、入社してからの人生も送ってください。会社を人生の一つのパーツと考えると、ものの見方や働き方も変わってくると思います。「今」を大切に頑張ってください。

東郷:企業に入ると、どうしても平日は忙しく、休日は休息にあてるなど大学生活のように自由に時間を使えないケースが増えていきます。今の貴重な時間を有効活用するためにも思い立ったら行動して、そこから何を得られるのかを自分なりに考えながら学生生活を有意義なものにしてください。

米山:就活というと企業が採用する側、皆さんが採用される側と思われがちですが、皆さんが選ぶ立場だということを忘れないでください。自分の素を出した結果、内定に繋がらなかったとしても、無理をして入社することの方がずっと不幸です。自分の強みを出した上で、それを評価してくれる企業を選んでもらいたいです。

蔵方:自分の意思で決められる面白さをぜひ追求してください。それが”はたらくを楽しむ”の大前提だと思いますので、ぜひ自分の意志で決めた就活をしてください。

裕:蔵方さんの言う通り、皆さんは今日、自分の意志でここに来たからこの話を聞くことができたんだと思います。その「一歩を踏み出す」という行為を、これからもぜひ繰り返してくださいね。