CAMP SUMMIT 2017【第2部】「人事の本音ディスカッション(福岡篇)」

全国5会場で開催された『CAMP SUMMIT 2017~はたらくを楽しむ人の流儀』。今回は、7月31日に開催された福岡会場の第2部「人事の本音ディスカッション」の模様をお伝えします。本会場でもマスコミ、メーカー、金融とさまざまな業界の現役人事担当者にご登壇いただき、選考で見ているポイントや最近の就活生について感じることなど本音を語っていただきました。

<登壇者プロフィール>
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九州朝日放送株式会社 総務局 人事部 副部長
的場 祐作 氏

株式会社再春館製薬所 経営企画室 人事戦略グループ マネージャー
長嶺 里美 氏

トヨタ自動車九州株式会社 人材開発部 人事室 事務系人材グループ グループ長
海野 竜 氏

ふくおかフィナンシャルグループ 人事部 副調査役
髙﨑 公輝 氏
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「“人間味”を見ることで、入社後の活躍を想像したい」
佐藤裕(以下、裕):早速ですが、まずはじめに、選考で「学生を見るポイント」について教えていただけますか。

株式会社再春館製薬所 長嶺氏(以下、長嶺):当社では、その人らしさ、いわゆる“人間味”の部分を見ています。よく面接などで暗唱してきた内容をスラスラと話す学生がいますが、こちらとしては、そういう意味での完璧さを求めているわけではなく、その人がどういう人かを知りたいと思っています。等身大の自分についてしっかりと話してくれる学生は魅力を感じますし、こういう風に成長していくのかなというイメージも膨らみますね。

ふくおかフィナンシャルグループ 髙﨑氏(以下、髙﨑):自分をつくっている学生というのは、やはり分かりますからね。人間味の部分で言えば、会話をしている中でふとした瞬間に笑顔がこぼれるなど、愛嬌も必要なのかなと思います。

長嶺:そう思います。愛嬌がある人は、仕事をする上でも周囲から気にかけてもらえますし、いろいろなチャンスが増える分、成長もしやすいと感じますね。

裕:入社後どう活躍するかを見極めるために、人間味を見たいということですね。ちなみに僕が面接で必ず見るポイントは、同性に好かれるかどうかです。異性にはモテるけど同性からは全然好かれないという人は、魅力ではなくモテるためのテクニックを持っているというだけ。一方で同性からも好かれる人にはちゃんとした魅力がありますから、社会に出てからも活躍できる人材になっていくと思っています。

「自分の本音で語られるストーリーこそが説得力と共感を生む。」
トヨタ自動車九州株式会社 海野氏(以下、海野):当社では会話の中での“ストーリーのつながり”を重視しています。論理的思考に関係しますが、例えば、「趣味は映画鑑賞で、○○監督の作品を良く見ます!」と言っているのに、その監督の最近の話題作を観ていないという学生がいます。本当に好きなものであれば用意してなくても語れると思いますが、自分がアピールするものについてちゃんと準備ができている人とそうでない人が二極化しているように感じます。そういった癖づけができていない人は、例えば入社後、企画書を通す際にもなぜそれを選んだのか、その背景に何があるのかなどを論理的に説明できないと思うんです。

九州朝日放送株式会社 的場氏(以下、的場)似たような話は当社でもありますね。当社では報道志望の学生も非常に多いのですが「最近の気になるニュースは?」と聞いた時に、出てくるニュースがすごく古かったり間違っていたりすると、こちらとしてはなぜ報道志望なのか、本当に世の中の仕組みに興味があるのかと疑問に感じてしまいます。とは言え、面接用につくられた付け焼刃のストーリーではこちらに伝わってきませんし、仮にその場は上手くやり過ごせたとしても、偽りの自分で入社したことになるので後々苦労しますよね。そういった意味でも、やはり自分の言葉で語れるストーリーで面接に臨んでほしいと思います。

裕:ストーリーを話す際は、面接官にリアリティを与えてほしいですね。学生が語るエピソードで最近多いのが、携帯電話を街中で売るアルバイトの話です。「組織の中で売り上げが1位です」というアピールをよく聞きますが、例えば、ではその組織には何人いるのか。100人なのか5人なのかによって1位のレベルは全然違いますし、自分は何台売って2位との差はどれくらいか、目標売上数に対して達成率はどれくらいかというところまで伝えるとリアリティが生まれるので、ぜひ意識してほしいですね。

「“地元就職”をアピールするなら、その裏側にある想いを明確に。」
裕:続いては、最近の就活生について気づくこと、不思議に思うことについて議論したいと思います。

海野:最近、学生の志望動機を見ていて思うのは「福岡に残りたい」というアピールが意外に多いということです。最初は「御社の高級車を作りたい」などとアピールしていた学生でも、突き詰めると福岡に残りたいという想いが一番の理由として浮き彫りになってくる。全国や海外などの可能性も探った上で最終的に福岡でと結論づけたなら問題ないですが、最初からそこだけを主張されると、もっといろいろ見た方がいいんじゃないかなと逆に心配になります。

髙﨑:県外の大学に通う学生を見ていても「福岡に帰りたいから」という動機は非常に多いですね。福岡が好きという想いを持ってくれること自体は嬉しいですが、大切なのはなぜ福岡に残りたいのかという点です。その裏側にある想いを明確にしてもらえれば、地元で頑張る原動力を持っているんだなと好評価にもつながります。

長嶺:まさに裏側にある想いが重要で「親元を離れたくない」「地元の友達と一緒にいたい」という甘えが垣間見える学生に対してはもったいないなと思いますね。

裕:もったいないというのは社会人がみんな思うことですよね。地元に残ることの大切さももちろんありますが、就職活動の前に全国の企業を見るなど、一旦は様々な可能性を探ってみてほしいと思います。僕自身はここ3年、仕事で国内外問わず飛び周っていて、ほとんど家に帰れない状況が続いています。もちろんキツイ時もありますが、それ以上に人生を変えるような人との出会いにワクワクしています。そういった可能性を潰さないためにも、ぜひ視野を広げて就職活動に臨んでほしいと思います。

「“御社が第一志望”というウソは無意味。志望順位の“軸”を話してほしい。」
髙﨑:私が最近の就活生を見ていて感じるのは、受ける企業の数が少ないということです。面接で他にはどんな企業を受けているか尋ねると「自分には御社が一番合うと思うので、御社だけです」と返されることがあります。志望してもらえるのはありがたいことですが、じゃあ当社と他社の何を比べてそう思ったの?と。その部分が伝わらず、何を基準に自分に合っていると思ったのか疑問に感じてしまう学生が非常に多いので、ミスマッチを防ぐためにもいろいろな企業をちゃんと見てから選んでほしいと思います。

裕:比較の話で言うと、「御社が第一志望です」という圧倒的に怪しいコミュニケーションがありますよね(笑)。これについてはどう思いますか?

的場:第一志望だと言いながら後々裏切られるとこちらも人として傷つきますから(笑)、ウソはやめてほしいですね。本当に第一志望の方ならいいんですが、そこは本音で話してほしいと思います。

長嶺:志望順位によってこちらが知りたいのは何を重視して就職活動をしているかという点なので、そこでウソをつかれても意味がないですよね。当社の志望順位は1位でも10位でもいいから、じゃあ第一志望の企業は何をもって第一志望にしているのか、その基準を自分の中に持っていることが大切だと思います。

裕:特に最終面接であれば企業側もその学生を採用したいと思っている可能性が高いですから、その辺りの企業の心理を掴むといいかもしれないですね。例えば「20社、30社受けています」と言われたら人事としてはこちらを振り向かせたいと思いますし、僕の場合は自社の魅力をその学生に徹底的にインプットします。そういう意味では「第一志望です」と言い切ることで得られる情報が少なくなる可能性はありますし、本当に第一志望であれば「当社のことは何でも知っているよね」とこちらも深掘りしますし、その覚悟をもって面接に挑んでほしいと思います。

「全力で取り組むことが、仕事を楽しめる社会人への第一歩」
裕:それでは最後に、若者へメッセージをお願いします。

的場:就職活動では同世代の人が一斉に競い合いますが、このような機会は受験以来だと思いますし、これから先もそうそうないはずです。楽しいこと、辛いこと、嬉しいこと。いろいろな経験をすると思いますが、10年後にはすべて笑って話せる酒の肴になりますので、たくさんの思い出を作れるように頑張ってください。

長嶺:先日、学生から「仕事って楽しいですか?」と聞かれました。やはり仕事なので辛いこともありますが、そこも含めて自分なりに楽しむことが仕事だと思っています。皆さんが働くことを楽しめる素敵な社会人になることを願っています。

海野:若い時には思い悩むこともたくさんあると思いますが、たとえ失敗しても強い意志があれば未来は切り拓けます。若い皆さんの前には多くのチャンスが広がっていると思いますので、意志をもっていろいろな機会を楽しみながら就職活動を乗り切ってください。

髙﨑:私は全力で就職活動をした結果、今の会社を選んで本当に良かったと思っています。でも周りにはそうじゃない人もいて、転職した友人もたくさんいます。人生には後悔がつきものですが、後悔を最小限に抑えるためには全力で取り組むしかないと思うので、長いようで短い就職活動にぜひ全力で取り組んでください。

裕:今日のディスカッションの中には、学生のみなさんにとって常識だと思っていたことが実はズレていたなど多くの気づきがあったのではないでしょうか。ぜひ、今日の刺激を行動の原動力に変えて、頑張ってくださいね。人事のみなさん、ありがとうございました。