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病を機に出逢ったメディテーション。経験すべてを仕事に活かす。

病を機に出逢ったメディテーション。経験すべてを仕事に活かす。

様々な大人の“はたらく”価値観に触れ、自分らしい仕事や働き方とは何か?のヒントを探る「はたらく大人図鑑」シリーズ。今回は、音楽カルチャーに広く精通し、アーティストのPRを中心にフリーランスで活動する松田敦子さん。乳がん闘病時に出会ったメディテーション(瞑想)を学び、現在は、ライター、PRに次ぐ第3の仕事として多岐に渡り活動されています。常にアンテナを張っている松田さんの働き方や人生についてお伺いしました。

雑誌編集から音楽カルチャーに惹かれ、25歳で単身N.Y.へ

今どんなお仕事をされていますか?

松:フリーランスでアーティストやブランドのPR、マインドフルネスメディテーションのインストラクターをしています

 

メディテーションとはどういったものになりますか?

松:メディテーションは、日本語で言うと“瞑想”です。私の場合は“マインドフルネス瞑想”といって、呼吸に集中したり、自分の感情や身体の感覚を観察し続けたりすることによって、ストレスを軽減したり、集中力やクリエイティビティ、自己肯定感が向上したりするなど、様々な効果が期待できることが科学的に証明されているものです。

もちろん、深い呼吸をするのでリラックス効果も期待できます。

日本ではまだあまり馴染みのない、新しいジャンルですね。

松:“瞑想”というとスピリチュアルなイメージがあるかもしれませんが、すでに海外では日常的に行われている一般的なものですし、特に“マインドフルネス瞑想”は、グーグルやアップルをはじめ、多くの企業が社内プログラムとして取り入れたり、小中学校でも瞑想の時間が授業に組み込まれていたりします。

ヨガも瞑想の一部なので、日本ではヨガのクラスの中で行われていることが多いですね。

メディテーションインストラクターというのは、具体的にはどういったお仕事内容なんでしょうか?

松:場所を借りてメディテーションのクラスを開いたり、料理家の方とコラボして、カフェで料理とメディテーションのイベントなどもやっています。

今年の夏は月に2回、近所の大きな公園に集まって無料でクラスを開催しました。

多い時はご近所の方々が10人近く集まってくれて、みなさんとコミュニケーションを取りながら、自分自身も色々と勉強になりました。

また今は、マインドフルネスのスマホアプリ制作にも関わっています。アプリ上の読み物のコンテンツのディレクションなどをしています。

編集部での勤務後、ライターとしての顔もお持ちなんですよね。

松:大学生時代にストリートファッション誌「Fine」という雑誌編集部でアルバイトをしていたんです。卒業してそのまま契約社員として入社し、25歳くらいまで編集部員として働いていました。

アルバイトから入社されたんですね。他の就職先も検討されていたんですか?

松:実は大学4年の時にCM制作会社の内定をもらっていたんですが、単位を1つだけ落としてしまって留年したんです。さすがに落とした先生のこと当時はすごく恨みましたけどね(笑)

「人生終わったな」と途方に暮れていたのですが、今考えたらあのまま就職しなくて良かったと思います。

もともと雑誌編集やライター業に興味はお持ちだったんですか?

松:書くのも読むのも好きだったんですが、プロにはなれないなーって思っていました。でも短くておもしろいフレーズで友達を笑わせたり、何かを伝えるためにモノを書いたりするのは好きだったので、編集部で働くことは合っていたんでしょうね。

そこからアメリカへ行かれるんですよね。何がきっかけだったんでしょうか?

松:アメリカの音楽カルチャーに惹かれたのがきっかけです。2カ月に1度はLAやN.Y.に出張で訪れていて、行く度に住みたい気持ちが強くなっていって。

25歳でスパッと編集部を辞めてN.Y.に渡りました

N.Y.ではどのような生活を送られていたんですか?

松:まずは語学学校に通いながらアルバイトしていました。ピアノバーでホステスやったり、電話の勧誘やったり、とにかくできる仕事はなんでも(笑)その後、大学に進学して卒業しました。

N.Y.でライターとしても活動されるんですよね。

松:日本の雑誌向けに現地の音楽レポートの記事を書いていましたね。海外アーティストの取材のコーディネイトや通訳など、30歳まで5年間、N.Y.の空気を思う存分吸って帰国しました。

帰国されてからはどのように活動されていたんですか?

松:帰国してからはフリーランスのライターとして活動していました。アメリカ滞在時にレコード会社の方からお仕事をいただいていたので、そのまま引き続き担当したり、海外へアーティストインタビューに行ったり。

例えば、1人のアーティストに対して行うオフィシャル・インタビューのお仕事を受ければ、音楽誌はもちろん、ファッション誌やカルチャー誌など、色んな雑誌に書き分けたりしていたんです。

雑誌によって読者も変わってくるので、臨機応変にピックアップする発言も文体を変えることもありますね。アーティスト来日時には、海外在住時同様に通訳のお仕事も続けていました。

とにかく音楽に関わる仕事はすべてやった、という感じです。

色々な雑誌に記事を書かれていたんですね。

松:はい、多ジャンルの雑誌に記事を寄稿することで、色んな編集部の人と仲良くなれたんですよね。そこから、インディーズのレコード会社の担当の方が「これを雑誌に売り込んでくれませんか?」って依頼が来るようになって、PRディレクターとしても活動し始めました

松田さんの豊富な人脈からお仕事を依頼されるようになったんですね。

松:私がレコード会社の方と雑誌の編集者の方を仲介する役割が増えたことも大きかったですね。その当時、ageHa(※東京・新木場にある日本最大級のエンターテイメントスペース)がオープンした直後で、そこで行われていたいくつかのパーティのPRも担当するなど、音楽にはずっと携わりながら色々と活動していました。

乳がん闘病時に出逢ったメディテーションに救われた

メディテーション(瞑想)に関わり始めるのは何がきっかけだったんでしょうか?

松:2013年頃に乳がんを患ったんです。幸い今は身体の状態は良好なんですが、当時は薬もたくさん飲むし、更年期障害の症状が出て、不安で不安で。ちょっと過敏すぎるくらい心配性になっちゃって、夜眠れなくなってしまったんです。

そこでメディテーションに出会われたんですね。

松:睡眠薬に頼りたくなかったので、色々試して、メディテーションのアプリを使い始めたら眠れるようになったんです。もともとヨガもやっていたので興味はあったんですが、そこから本格的に勉強し始めました。

乳がんを患われた時、どのような心境だったんでしょうか?

松:最初は冷静に受け止めて「とにかく治さなくちゃ」っていうことに一生懸命でした。でも、自分が気付かないうちに不安が募っていて、それが心身に良くない影響を与えていたんだと思います。

仕事関係の方には公表されたんでしょうか?

松:変に気を使ってほしくなかったこともあり、かなり近しい方以外にはあえて言いませんでした。世の中には様々な考え方の人がいるので、中には私より苦しんでいる人もきっといるだろうし、症状をおおっぴらに公表はしませんでした。

ご病気を乗り越えられたことで、何かそれまでと変化した点はありますか?

松:今あるものに感謝するようになりましたね。

誰しも仕事に対する不満は少なからずありますよね?本当にこの仕事がやりたいことなのかな、もう辞めたい……とか。

不満がどれだけあっても、与えられたものがあるっていうことに感謝して、1つずつ丁寧にやっていこうと思えるようになりました。

仕事も自分が持っているものの1つですよね。仕事も健康も、あることが当たり前ではないっていうことに気付かされましたね。

誰かのマネなんてしない、自分のオリジナリティを発信して

松田さんが、“はたらく”を楽しむために必要なことはなんだと思いますか?

松:仕事には必ず相手がいるものです。その相手をリスペクトすること。そうじゃなかったら相手も自分も楽しめませんからね。

他には何かありますか?

松:自分が仕事で扱うものは、自分がきちんと信じること

例えば今、私はどんなにお金をいただいても添加物がたくさん入っているような商品のPRはできません。自分の中でその商品をきっと信じられないと思うから。

自分にポリシーを持っていれば、仕事は自分で楽しめるようになると思います。

そのために何か心がけていることはありますか?

松:なるべく良いところを見るようにしていますね。

ちょっとでも喜びを見つけて、ポジティブな部分を強調して、自分の中で消化する

あと、もうどうしようもない時は、「これも経験!」って割り切ることにしています(笑)

松田さんにとって、“はたらく”とはどういったものでしょうか?

松:もちろん収入の手段ではあるんですけど、自分が人に評価される判断基準となるもの、ですね。人間性とは別の部分です。

ギャランティが上がる、仕事をいただけるということは、自分のパフォーマンスが認められている証拠ですからね。

自分が良い仕事をすれば他の誰かの役にも立って、さらに自分の評価もあがる。幸せを循環していくのが私の理想です。

“はたらく”を楽しもうとしている人へのメッセージをお願いします。

松:これからの時代、表面的なモノってどんどん通用しなくなってくると思うんです。

何を発信するにしても、自分の頭で考えた自分の表現を必ず入れること。

例えばインスタグラムなどで、誰が撮っても同じような写真をアップしても意味がないですよね。

誰かが書いているインスタのコメントやハッシュタグなんてマネせずに、自分のオリジナリティをどんどん発信していくことが大事。

SNSで発信することも、自分のカラーを少しでも入れる、ということですね。

松:あと、SNSは友達や知り合いに向けてアピールしている人が多いですよね。

そうではなくて、全然知らない他人に向けて発信してみるのも良いと思います。

今だと、noteで長文を書くのもおススメですね。

自分のことを何も知らない世間に向けて発信してみると、それを見た他者からのリアクションで、何か新しい気づきが得られる可能性もあるはずです。

松田 敦子さん(まつだ あつこ)

フリーランスPR&メディテーションインストラクター

松田 敦子さん(まつだ あつこ)

大学卒業後、「Fine」編集部に勤務。25歳で現地の音楽カルチャーを学ぶため単身N.Y.へ。大学に通いながらライターとして活動し30歳で帰国。帰国後はフリーライター、PRディレクターとして、アーティストや「ageha」の人気パーティのPRを手掛ける。乳がん闘病を機に始めたメディテーションでインストラクターとしても活動中。

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