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就活成功者は学生時代をどう過ごしている? 入社後の現実!“リアリティ・ショック ”について考える【後編】

就活成功者は学生時代をどう過ごしている? 入社後の現実!“リアリティ・ショック ”について考える【後編】

“リアリティ・ショック”を受けずに充実した社会人生活をスタートさせる学生は、就活の段階で何をしているのか?リアリティ・ショックをテーマにCAMPキャプテンの佐藤裕とパーソル総合研究所の小林祐児さんが対談しました。

前編はこちら

インターンシップは本当に必要?大切なのは参加するマインド

:調査では、インターンシップで「現場社員との継続的な人脈が築けた」「企業・職場の雰囲気を直接知ることができた」「インターンシップの目標設定があった」と感じられた学生は、リアリティ・ショックを受ける割合が少ないというデータも出ています。

:もちろん参加することに意味はあると思います。

ただ、「インターンシップに合格した」っていう間違った表現があったり、インターンシップに行けば安心という変な文化があったりするなとも感じますね。

:海外先進国から見ると、「日本のインターンシップはただの会社説明会」と揶揄されたりもします。

実際に、企業にとっては就活初期における重要な自社プレゼンの場ですが、その分、得られる情報も表層的なものになりがちです。企業の本当の中身を知るために、学生はどういった姿勢でインターンシップに参加すれば良いのでしょうか?

:まずは、インターンシップに参加する状態がどのようなものかが大事だと思います。

人によっては、「とりあえず参加する」「大手だからとにかく行ってみた」といった動機もあると思うのですが、自分の中で色々考えた上で、「ここのインターンシップに行こう」っていうマインドがあるかないかで、充実度が全然違うんじゃないかな。

インターンシップ先で何を見抜いてくるべきか、チェックリストを作ってあげたいです(笑)

「あの人と一緒に働きたい!」は危険信号!本当に見るべきなのは仕事内容

:就職先を決めた学生の多くが口にするのは、「結局最後は“人”で決めた」という意見。「あの人がいたから」「すごく素敵な人がいたから」と答える学生が多い。

一見、良い選び方のように聞こえますが、裏を返せば職務で就職先を決めていないってことなんです。

:そうですね。

:でもそういう人って結局、これまた「人」が原因で辞めていくんですけどね(笑)

「この人の下で働きたい!」と思って入社したら、別のとんでもない上司が出てきた、みたいなことがあるわけです。

就活中に触れ合った数人の「人」で企業を選んじゃうっていうのは実は怖いことでもあるっていうのを知ってほしいです。

:そもそも就活中に出会った企業の人は、部署が違うなどで一緒に働かない方が多いですからね。その人が辞めていく可能性もあるわけだから。

そこを理解した上で、人ではなく職務内容をきちんと見て判断すべきだと思います。

まだまだ強い大手企業のブランド力。選ばれる人材のロジックは見極め不可能?

:インターンは今後も学生達の最初の勝負のポイントともいえると思います。企業側はどこまでインターンにコストをかけていくんでしょうか?

:今は中小以下の企業が、大学1~2年生にお誘いの手を伸ばし始める傾向があります。大手企業はブランド力があるので、大学3年からオープンしても取れるっていう自信がありますからね。

:そうやって大学1~2年生で中小企業が温めた学生を、大手企業がかっさらっていくという現実もあるわけですよね。

:そうですね。そういう点があるので、インターンの開始時期を前倒しすることには懐疑の念を抱いています。

企業ブランドで就職先を選ぶというミーハー文化が教育上無くならない限り、大手のやっていることはある意味、理に適っているとも言えますしね。

:人事サイドは、自分が採用した人間が何年後かに果たして何人残っているか、何人が活躍しているか、という結果をほぼ見ない、責任をとらない、という問題もあります。特に分業が進んでいる大手企業ほど採用と教育が分離している傾向にありますね。

しかし相変わらず大手企業優位の市場ではありますね。

:古き良き日本の大手で、採用した人のその後の活躍までしっかり見られていないという企業は少なからず存在すると思いますね。

とにかく“学生を取りに行く!”っていうのが採用担当の仕事になっちゃっている感があるな、とも感じます。

リアルな企業の内情を知りたければ“勤続5年目以上の人”を選べ!

:就職に関する話を聞くのは、若手より勤続5年目以上の人の方がお勧め

入社3年目くらいの社員が会社説明会に来ることも多いですが、残念ながら企業の良い所しか言わないことが多い。社内経験も浅いので、言うことが金太郎飴のようなことになりがちです。

5年目くらいになると人事の言う事聞かなくなるから(笑)、リアルな現場の意見を聞けることも多い。「この人は企業目線でなく、自由にモノを言ってくれそうだな」っていう人とコンタクトを取り続けるのは大事。

:インターン生として現場にいると、「よし、飯行くか!」みたいなことも多いから、どんどん参加すると良いですよ。

学生からするとおじさんのリアルな仕事への意見が聞けたりするのって、すごく貴重な情報になりますし。

やりたいことの有無とリアリティ・ショックの関係は?

やりたいことが早めに決まっている人は、入社前理解が高いという結果も出ています。

やりたいことが決まるのが大学3年生の冬くらいになっちゃうと、なかなか入社前の理解ができていない。

:その辺りの時期がある意味ポイントになるわけですね。

:目標意識を持って、「将来こんなことやりたいな」という人と、そうでない人との差が出てくる時期ですね。

でも実際、「やりたいことって見つけにくいよね」っていうのが本音。

大体の人は、就活を開始してから、将来やりたいことがだんだん決まっていくんじゃないでしょうか?

:僕の感覚としてもそんな感じです。一番問題なのは、やりたいことが決まっていると思い込んでいる人ですね。

本当の本心でやりたいことが決まっている人は恐らく10~20%くらいなんじゃないでしょうか?

大学3年生の夏頃からインターンシップに参加したりして、周囲に自分の夢を語っていると、本当に自分はそうなんだと思い込んじゃう節もありますね

“やりたいこと決定層”は学生生活をどう過ごしているか?

:では早々にやりたいことが決まっている学生は何をして過ごしているかというと、授業とは関係のない勉強を自主的にする」「授業に関する勉強」「異性の友達と交際する」といったことが具体的な行動として挙がってきているんです。

さらに、学生生活で最も重点を置いていたのは「資格取得」「勉強」「豊かな人間関係」

この辺りをバランス良く取り組んでいる人が、早めにやりたいことが見えてきているようです。

:なるほど。

:裏を返すと、大学生活を何となく過ごしちゃっている人、例えばアルバイトばっかりしている、趣味にしか取り組んでいない、といった人は、目の前の生活は楽しんではいるけど、将来があまり見えてこないようです

真面目に過ごしているからやりたいことが見えてくる、というわけでもないんでしょうね。

他者との交流が視野を広げ、“やりたいこと”発見に繋がる

:教育心理学の知見によれば、「やりたいことを見つけたい」と思った時に、一番ダメなのは他者追随型。つまり、「他の人が決めてるから自分も決めなきゃ」という決め方です。

周りのキラキラに気圧されて焦っちゃうような人は、結果的にやりたいことは見つからないと思いますし、就活にも跳ね返ってきます。

なので、「やりたいことを見つけなよ」と言われて焦って動くのは違うのかなと。

:色んなタイプの人がいますからね。

:やりたいことがあるけど消極的な人もいるし、やりたいことはないけど能動的な人もいる。ここの差は就活の結果に有意差はないんです。

結局、やりたいこと無し&就活に消極的といった人が、一番入社後のリアリティ・ショックが大きいんです。

教育現場からはどう見えていますか?

学生時代の異性や他者との交流が、やりたいこと発見に繋がるかというと、そういった部分も実際にあると思います。

僕の受け持っているゼミ生もそうですが、男性と女性でバラバラに座っている時は、意見にそれぞれの個性というか色が出てくる。

でも座り順をミックスすると、意見や情報にさらに奥行きが出てくるんですね。

異性や他者との交流が興味や関心の幅を広げているように思います。

:同じコミュニティでずっとつるみ続けていると、意識や情報といった、自分自身の幅が広がっていかない、という一面があるのかもしれませんね。

:就活がうまい、下手、というのも大学によって個性が出てきたりすると思います。

やはり近場に他の大学がある所は、学生同士の交流があって情報が多いので、就活そのものがうまいように感じます。

:情報を広めて狭めるというのが自然にできているのかもしれません。

重要なのは、自分の「内面」を見て自分を発見するという自己分析より、自分自身がどういったものなのかがわからない段階で、色んな人とふれあうことだと僕は思っています。

一歩足を踏み出して他者と交流していくことが、やりたいことへの発見に繋がるんじゃないかな。

“やりたいこと”は探しに行くものじゃなく、内から自然に出てくるもの

:やりたいことって実は過重労働問題にも繋がってくるんです。

例えば服が好きでアパレル会社に就職したとします。ハードな勤務形態でも、自分が「やりたいこと」と決めたためになかなか仕事を辞められない、という人もいるんです。

やりたいことを辞めるというのが自分否定につながってしまうんですね。

これは、“やりたいこと”と“自分自身”をあまりに重ねて見てしまうことの弊害でもあります。

:ほとんどの学生が社会を知らない中でやりたいことを見つけるので、実際の現場とのギャップが大きいのかな。

知識も経験もないのに、自分を深めるだけでは“やりたいこと”は見つからないし、もし見つかったとしてもそれは狭い自分のキャパシティから無理やりひねり出したもの

大学3年生の冬からいきなり人に会って自分のキャパシティを広げる、というのは遅いのかなという感覚です。

:そもそも、「やりたいことを見つける」という作業が間違っているとも思います。

大学生って、ついついやりたいことを探しに海外とかに行っちゃうじゃないですか。

例えばアジアにいって貧しい子どもを見て、助けたいからグローバル企業に入社する、みたいな。

それはたまたまタイミングが合っただけで、本当の自分の気持ちではないことも多いんですよ。

やりたいことが見つかる学生は、常にアンテナを張っているので、突然何かの考え方に頭が支配されるんじゃなく、積み重なって自然に出てくるものなんです。

「なぜ?どうして?」常に疑問と360度の視野を持って人生を送るべき

:なかなか難しいことかもしれないんですが、“やりたいこと”が自然に出てくるために心がけることって何かあると思いますか?

:大学生よりもっと早い時期の問題ですよね。

高校生とか、せめて大学1年生くらいから、何かを決めつける前に360度の視野を持つ意識がないといけない

なんで?どうして?と色んなことに興味を持って、アンテナを張っていないとダメだと思います。

:先程も言ったように、視野を広げるって、ある意味怖さを伴うと思うんです。

そこをハードルとして乗り越えるのは就職してからも同じこと。

自分の見える範囲でしか仕事をしない人は結果仕事のパフォーマンスも低いですから。

:あと、自分が興味のないことを研究することも良いと思います

興味のあることって、好きなことだから勝手に自分の中に入ってくるけど、あえて興味のないことを調べていくと、段々面白くなっていき、幅が広がることもあると思います。

SNS全盛の今だからこそ、“アナログ就活”が効果的

:この時代、SNSは絶対見てしまうものなので否定はしないです。

ただ、そこに書いていることが本当なのかどうかを見極められるのかどうかが大切。

見極める力がない人が、情報に踊らされるのは危険だなと思います。

:メディアってどういう影響を与えるか?という問題は、「どういう情報を誰と見るか?」ということに通じると思います。

「周りに踊らされるな、そんな情報は間違ってるぞ」と言ってくれる人が隣にいるかどうかというのも大切

:現代は超デジタル社会だからこそ、アナログ就活が逆に効果的だと思うんですよ。

あえて最先端を使わない就活。人に直接会ったり、自分の足で見て確かめたりね。

過去と未来を切り離し、新しい自分をキャリアデザインする

:自分の幅を広げるっていうのは、ある意味怖い事だけど、そのハードルをどんどん越えていかないといけないと思います。

人生は他者に巻き込まれていくことで広がっていくもの

自分の殻に閉じこもって、自分の中から何かを見つけるのではなく、どんどん他者にアプローチして、何かしらに巻き込まれ、新しい自分が始まっていくことが、就活においても大切なことなのではないでしょうか

:自己分析をすればするほど過去の自分をベースに未来を描いてしまうんですが、それは間違いです。

過去の自分を未来に持っていってもダメ

そこに気づくことができると、過去と未来を切り離し、自分自身の新しいキャリアデザインが出来てくと思います。

それがリアリティ・ショックを受けずに、充実した社会人生活を送るポイントにもなるんじゃないかな。

 

※CAMP×パーソル総研の共同調査の詳細はこちら

小林 祐児さん(こばやし ゆうじ)

株式会社パーソル総合研究所 主任研究員

小林 祐児さん(こばやし ゆうじ)

上智大学大学院 総合人間科学研究科 社会学専攻 博士前期課程 修了。世論調査機関に勤務後、総合マーケティングリサーチファームを経て2015年入社。専門は理論社会学・社会調査論。現在の主な研究領域は長時間労働是正/ミドル・シニア層の社内躍進/新卒-若年者のキャリア/アルバイト・パート領域のマネジメントなど。
書籍に 『残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』(共著・光文社新書)『会社人生を後悔しない 40代からの仕事術』(共著・ダイヤモンド社)『アルバイト・パート 採用・育成入門』(共著・ダイヤモンド社)『マーケティング・リサーチの基本』(分担執筆・日本実業出版社)その他、各種新聞・雑誌・ダイヤモンド・オンライン等へのメディア寄稿、講演多数。

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