マキ・コニクソンさん対談[前編] 楽しくなければ仕事じゃない。 その決断がハッピーな人生を引き寄せる

このコラムでは、各業界の第一線で「はたらくを楽しむ」人たちを紹介します。第1回のゲストはハワイを拠点に“カリスマコーディネーター”として活躍しているマキ・コニクソンさんです。数多くのタレントやスポーツ選手から厚い信頼を寄せられ、インスタグラムのフォロワー数は20万人以上。著名人からもファンからも支持される、マキさんの仕事観から「はたらくを楽しむ」ためのヒントを見つけてください。

「ものづくりは環境づくりから。全員が楽しめる雰囲気を追求」

佐藤裕(以下、裕) まずは現在のお仕事について教えてください。

マキ・コニクソンさん(以下、マキ) テレビや雑誌などの制作スタッフがハワイをはじめ海外でロケを行う際、撮影がスムーズに進むようにスケジュールを組んだりロケ地をセッティングしたりといったお手伝いをしています。コーディネーターになる以前はテレビ局に勤め、コーディネートを依頼する立場だったことから制作側の気持ちはよく分かるんです。当時、「もっとこうしてくれたらいいのに」と不満を感じていた現地スタッフを反面教師に、相手に喜ばれる対応を目指しています。たとえば息抜きのショッピングやおいしい食事の手配なども制作チームのモチベーションを上げる大事な要素です。そこで生まれた和気あいあいとした雰囲気は、より良いものづくりを実現させるだけでなく、画面や誌面を通して見ている人にも伝わるからです。そうした思いから、常にそこにいる全員が仕事を楽しめるような環境づくりを心がけています。

 

「大切なのは、ステータスよりもハッピーかどうか」

 テレビ局に就職された経験があるということですが学生時代、就職活動はどのようにされていましたか?

マキ アメリカの大学を卒業後、「英語力を活かしたい」といくつかの企業を受け、その中から内定をもらったテレビ局に就職しました。配属先は希望していた制作部ではなく、報道部でしたが、時代が好景気ということもあり高給で華やかな仕事に就けたことに初めは満足していました。しかし次第に「これが本当に自分のやりたかったことなの?」と自問するようになったんです。

 ステータスのある仕事を辞めることにした決め手は何だったんですか?

マキ 私は常に「どちらを選んだ方がよりハッピーか」を軸に決断するんです。自分のことがよくわかったのもその時で、この仕事を続けていても幸せにはなれないし、自分がステータスを必要としていないことも痛感しました。また決断をする時は、誰にも相談しません。それで失敗したからと言って人のせいにはしたくないですし、ハッピーな人生を歩むのも、歩まないのも自分の決断次第。退職後はしばらく、フリーランスとしてテレビの外国人タレントを対象にキャスティングをしたりインタビュアーやリポーターとして活躍したりと好きなことができてとても幸せでした。

 「努力が信頼を生み、信頼が感動を呼ぶ」

 その後は英会話サロンも運営されるなど、コーディネーターになる以前にもさまざまなことにチャレンジし、しかも成功されていますが、マキさんが仕事をする上でのモットーは何ですか?

マキ “楽しくなければ仕事じゃない”、その一言に尽きます。英会話サロンの運営を始めたのも、もともとは「英語を教えてほしい」とタレントに頼まれ、やっていくうちに「教えるって楽しい!」と気づいたことがきっかけでした。当時、日本人が運営している英会話サロンはまだ少なく、日本人の苦手な発音や文法などを理解した上での授業がカスタマーのニーズに合致したんだと思います。同様にコーディネーターの仕事も制作スタッフと同じ目線で楽しみながら、ものづくりを追求しています。だから私の会社では「できません」は禁止なんです。良いものをつくるためにとことん追求して、みんなの想いを形にする。そのための努力は惜しみません。華やかな仕事に見えるかもしれませんが、実際には現地の撮影許可を取ったりレストランやホテルの予約をしたりと地味な仕事の積み重ねなんです。

 なるほど。そうした一つひとつの積み重ねが、各界の著名人から指名される現在の信頼につながっているんですね。

マキ そうですね。それを実感したのが、キューバである女優さんの写真集を撮影した時のことです。最終日に切手とポストカードを用意し、「みんなで好きな人に送ろう」と提案したんです。そうしたらその女優さんがポストには投函せず、「マキさんに」とカードを手渡しでくれたんです。そこには「ため息が出るほどおいしい料理を用意してくれてありがとう」など、彼女が私の仕事を見て、感じたことが書かれていました。実際、食事先を決める際にはロケが始まる前に自費で何軒もレストランを食べ歩き、味や雰囲気をチェックするんですが、そうした目に見えない部分を感じ取ってくれたんだと思います。「マキさんの仕事を見て、改めてプロフェッショナルというものを感じた」という言葉に、こちらの想いが伝わったんだという感動が込み上げ、涙が出るほどうれしく思ったのと同時に、この仕事を続けてきて本当に良かったと痛感しました。そのポストカードは今でも私の宝物ですね。そういう出会いがあるからこそ、苦労も苦労とは感じないんです。

 

「辛い時こそポジティブに!自分の中の“Drama Queen”と決別を」

 そういった仕事上の感動は、努力なしには得られませんよね。マキさんの仕事に対するプロフェッショナルな姿勢は、昔から変わらないんですか?

マキ 実はコーディネーターを始めた当初に味わった苦い経験が今の私につながっているんです。ハワイに来てすぐの頃、ロケ地を車で移動している最中に先輩コーディネーターから撒かれたんですよ(笑)。当時はカーナビもないですから、タレントを乗せたまま迷子になり、大恥をかいてしまいました。その時、「なんて意地悪なんだろう」と先輩に対する怒りを感じると同時に、「道を覚えていないなんてプロとして失格」と反省する気持ちもわいてきたんです。その日の夜、「絶対に先輩を見返してやる」と明け方まで次の日の道順を覚えました。結果的に先輩の厳しさに触れたことが仕事に対する姿勢を見つめ直すターニングポイントになったと実感しています。数年後、仕事関係者からその先輩について「どんな人?」と尋ねられたことがありました。一瞬、意地悪をされたことを話してしまいたい衝動に駆られましたが、敢えて「とってもいい人だよ」と答えたんです。その話が先輩本人に伝わったことがきっかけで、彼女に心を開いてもらうことができ、今ではお互いに尊敬し合える仲になりました。

裕 すごい!敵も味方に変えてしまう、マキさんのポジティブさはどこからくるのでしょうか?

マキ よく「どうしていつもそんなにハッピーなの?」と聞かれますが、私だって嫌な気持ちになることはありますよ。肝心なのは、その気持ちを自分でどうコントロールするか。誰の中にもポジティブな自分とネガティブな自分、両方の自分が絶対にいると思うんです。でも嫌な思いをして2人の自分が現れた時、私は迷わずポジティブな自分と仲良くする方を選びます。私は“Drama Queen”と呼んでいますが、ネガティブな気分に浸りたがる人が多い気がします。そんな自分とはサヨナラして、辛い時こそ前向きな一歩を踏み出してほしいですね。

<対談相手プロフィール>
マキ・コニクソンさん
テレビや雑誌の撮影コーディネートをはじめ、アクセサリーやファッションブランドのプロデュースなど多方面で活躍。拠点であるハワイの魅力を伝えながら、世界各国での撮影コーディネートも手掛ける。著書に『Maki’s happy theory ハワイのマキさんが教えてくれる幸福論』(KKベストセラーズ)、『MAKI’S DEAREST HAWAII~インスタジェニックなハワイ探し~』(ダイヤモンド・ビッグ社)など多数
Instagram:@makikonikson